「こ、これはご丁宁に。僕の方こそ、胜手がわからないものでいろいろとご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお愿いします」
立て板に水とはまさにこの事という感じの流丽な口上に気圧されつつ、后头部に手を当てながらへこへこと头を下げる。
我ながら絵に描いたような小市民っぷりである。
「そう畏まらないでください。穂村様はVIPなのですから」
「VIPだなんて………」
今まで自分に向けられたことのない言叶に、びっくりして顔を上げると、若宫さんの辉くような笑顔を目の当たりにしてしまい、年甲斐もなく鼓动が高鸣ってしまう。
と、そこへ黒服の男性が近づいてきて若宫さんに封筒を差し出した。
元军人と言われても违和感がないような、隙の无い身のこなしだった。
若宫さんが受け取ると、黒服の男性は僕に一礼し、その场を立ち去っていった。
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「チェックインの手続きが完了いたしましたので、穂村様のご用意がよろしければお部屋にご案内いたします」
「あ、は、はい」
僕は颔き、シャンパンを一気に饮み干した。
***
「おー……凄い……」
案内された部屋は、今までに见たこともないほど绮丽で豪华で、窓からは一面に辉くような海を一望できる素晴らしい部屋だった。
気の利かない感想を漏らしつつ、きょろきょろと辺りを见渡す。
「こ、ここって几らぐらいなんだろう………」
すぐに金额が気になってしまうのも、小市民の悲しい性である。
「シーズンによってレートは异なりますが、凡そ1泊10万円から20万円でご案内しております」
「20万っ………!」
思わず零した呟きに返ってきた答えにびっくりしてしまう。
僕の给料では、とてもとても手が出る価格ではない。
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调度品に触って指纹を付けるのすらなんだか申し訳ない気がして、そわそわしてしまう。
「穂村様」
神妙な若宫さんの声に振り向くと、若宫さんが深々と一礼する。
「穂村源一郎様の事、改めてお悔やみ申し上げます」
「あ、いえ、そんなご丁宁にありがとうございます」
若宫さんの改まった声音に、慌てて僕も一礼する。
そう、僕がこんな场违いなリゾート地に来ているのは、祖父である穂村源一郎に起因するのである。
僕自身はしがないサラリーマンであるが、穂村家は元々新潟県で多くの土地を持つ地主であり、资産家だったのだ。
特に、祖父である源一郎は新兴财阀のヴェイン?グループに多额の投资をしていた。
亲しい訳ではなかったが、祖父にとって僕はただ一人の孙であり、その死去に际して僕は祖父の遗言に従って広大な土地や财産と合わせ、ヴェイン?グループの株を100万株相続する事となったのだ。
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