そして、総太郎は妹の下着を目に焼き付けながら、力尽きて体を地面に投げ出した。
「だ、ダメだ……俺の、负けだ……」
それを口にした瞬间、精神的な何かが自分の中で崩れ落ちたような感覚を覚えた。败北感か、それとも别の何かなのか――
确かなことは、これで全てが水泡に帰したということだった。総太郎の视界には、ガッツポーズする妹の姿があった。
「や……やったぁっ! お兄ちゃんに胜ったー!」
かえではこの日初めて、満面の笑顔を见せた。ここまできて初めて胜利を确信したということは、どれだけ优位に立とうとも、常に逆転される可能性を头に入れて戦っていたことを意味する。
それほどに気持ちが入っていたということだ。総太郎は、何よりも一戦に赌ける気持ちで负けていたことを思い知らされた。
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「く……っ……」
ミリエラの制服姿で喜ぶかえでの姿をなすすべもなく见上げながら、総太郎は体中の力が溶けてなくなっていくかのような无力感に袭われた。
(ここまで来て、かえでに负けるのか……いや、俺はそうやっていつも思い上がっていたのかもしれない)
かえでには负けてはいけないという意识が心のどこかにずっとあったのだ。妹は一人のライバルになっていたのだということを、しっかり认めて临まねばならない戦いだった。
「これでわたしが斤木流最强なんだ。认めてくれるよね、お兄ちゃん」
自分のほうが上であると総太郎に口にさせることで、力関係が変わったことを実感しようと思っているのか。または、総太郎に思い知らせようと思っているのだろうか。
いずれにせよ、かえでがこうまで総太郎を上回ることを欲していたとは、総太郎は今さらながら意外に感じていた。それとも、ずっと心の底にそうした思いを抑圧させていたというのだろうか。
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かえでも格闘家なのだ、考えてみれば、自分のほうが下风のままでいることに纳得できるはずがない。一度は祖父がかえでを后継者に指名する话があったのだから、なおさらだ。この决戦は仪式として必要なものであり、父が存命していればおそらく彼の前でやることになっていたのではないか。
それが今ここで行われ、后継者の座を赌けた胜负に総太郎は败れたのだった。败れた以上、総太郎はかえでの望み通りのことを口にしなければならない。
「ああ、认める……斤木流の后継者は、お前だ」
その言叶を口にした瞬间、かえでは満足げな笑みを浮かべ、総太郎の目からは自然と涙が流れた。
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