「どいてちょうだい」
ぐいっとレフェリーを押しのけ、サリアは健士の両脇に腕を通して立ち上がらせた。
すっかりフラフラになった彼の胸を小突いて反対侧のコーナーへと押し込む。
「さっきまでいっぱい殴ってくれたわよね。ちゃんとお返ししなくちゃいけないと思うの」
「はぁ、はぁ、あぁ、く、来るなああああッ!」
だがサリアは彼の言叶を无视して、トップロープに彼の腕を络ませてしまう。
両腕に拗じられるような痛みを感じながら、健士はコーナーへ磔にされてしまった。
(やばい、この体势……なぶり杀しにされちまう!)
恐怖で顔をひきつらせ、もがき苦しむ健士。
先程の连打によってスタミナをごっそり夺われていることもあり、自分の力ではこの拘束を解けそうにない。
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絶望感に怯える彼の颚を、サリアは人差し指だけで、くいっと自分の方へ持ち上げた。
「そんなに怖がらなくてもいいよ、一枚ずつむしり取ってあげるから」
「俺に何を、する気だ……」
「このラウンドの终わりまで弄んであげる……」
そう言いながらサリアは右腕を后ろに引き绞る。
明らかに威力の高い大きなパンチが来る。
「やめっ……」
ズドッ!
「腹筋が缓んでるわよ?」
「~~~~~~~~~っ!!」
突き上げるようなボディへのアッパーだった。
抵抗できない状态での攻撃は、来るとわかっていても恐怖だ。
ドスドスドスドスッ!
「がっ、あっ、がああっ、まっ……!」
彼女のパンチはそれほど重くはないが、角度がきつい。
健士の内蔵をえぐり取るようなキレの良いパンチが数発缲り返される。
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「自分からキックを使わないなんて言い出すあなたは、片翼をもがれた鸟みたいなもの。
だから私が残っている翼も动かなくしてあげる」
サリアの言叶に健士は戦慄した。
彼女のボディ攻撃はその后も続いた。
もはや両腕を动かすことすらできなくなりつつある……
(この女、俺のスタミナを、ぐふっ! 完全に、夺い取る、搾りッ! ぐああああ、取るつもりなのかアアアァァァァ!!)
痛みと恐怖でガクガク震えだす健士。
その顔を両手で挟み込み、サリアが顔を寄せてつぶやく。
「いい声で鸣くのねチャンピオンさん」
「う、ぐううっ……」
「これは报酬代わりよ。
もっとたっぷり闷えてね……ちゅううううぅぅぅ?」
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